第32章 最後のオークション品

再び、雷鳴のような拍手が沸き起こり、いつまでも鳴りやまなかった。

そんな雰囲気の中、鈴木七海は口元に笑みを浮かべ、まるで自分がこの世で最も幸福な女性であるかのように振る舞った。

佐藤奈須はただうっとりと彼女を見つめ、視線が交わると、その好意を隠そうともしなかった。

照明のせいか、中村健の顔色はひどく黒ずみ、その双眸は極めて陰鬱な冷たさを湛えていた。

しばらくして、オークショニアが一つの競売品を取り出し、朗々と告げた。「さて、今夜のオークション、最後の競売品をご紹介いたします」

その言葉が終わらないうちに、佐藤奈須の携帯電話がけたたましく鳴り響いた。

彼は眉をひそめ、...

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