第326章 一回の食事すらダメ

星辰グループのオフィスに足を踏み入れた瞬間、寒川行雄の視線は真っ直ぐに鈴木七海を捉えた。

彼女は以前と変わらず、息を呑むほど美しく、そして堂々としていた。

寒川の胸の鼓動は、抑えきれないほどに早鐘を打ち始める。

(くそっ……)

彼は無意識に心の中で毒づいた。

ここへ来る前、親父から「落ち着いていけ」とあれほど釘を刺されていたというのに、やはり自分の鼓動を制御することなどできはしなかった。

好きな人を前にして、冷静でいられるはずがないのだ。

「鈴木……」

声をかけようとしたその時、ふと彼女の傍らにいる佐藤奈須の姿が目に入った。

佐藤は鋭い視線でこちらを睨みつけている。その目に...

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