第342章 彼女を落としたい?

実は先ほど塩浦正美と交わした言葉は、単なる社交辞令に過ぎない。塩浦正美は賢明な男だ。彼女の言葉の裏にある真意を汲み取り、これ以上自分に無駄な時間を費やすことはないはずだった。

だが実際のところ、彼女はひどく空腹を感じていた。

一日中撮影に追われ、まともな食事をとっていない。おまけに身重の体では体力の消耗も激しく、お腹が空くのも無理はなかった。

上村愛美は鬼沢恭子と塩浦正美の存在など意に介さず、傍若無人に箸を手に取ると、テーブルに置かれた鴨肉のピリ辛冷菜へと熱い視線を送った。

昔から鴨肉が大好物だった。白崎政光と付き合い始めてからというもの、その好みを熟知していた彼は、事あるごとにラン...

ログインして続きを読む