第468章 中村健を売る

中村健からまとまった金を受け取った。

助手は退職届を手に、会社ビルを出た。最後まで体裁は崩さない。胸の内は、当然うきうきしていた。

中村健の下で働くのは確かに危ない。だが、その分うまみも大きい。今回の一件さえ終えれば手を引く――この金があれば、残りの人生は食っていける。捨てられたという恨みなど欠片もない。

むしろ、肩の荷が下りた気分だった。

ところが正面玄関を抜けた瞬間、待ち構える二つの影を見て、助手の笑みはひきつった。

鈴木七海と佐藤奈須。通り道を塞ぐように立ち、意味ありげにこちらを見ている。明らかに、自分待ちだ。

助手は足を止め、ちらりと背後の逃げ道を探す。だが退くに退けない...

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