第61章 高校生

翌朝、鈴木七海は誰よりも早くL市第一高等学校へと足を運んだ。

ちょうど朝の読書時間が終わる頃で、鈴木七海は校庭を歩いていた。

L市第一高等学校はL市の重点高校であり、ここに入れるのは市内でトップクラスの秀才ばかりだ。かつて、彼女もその一員だった。

朝日がゆっくりと昇り、明るく燦々と輝き、無限の希望を育んでいる。

彼女は、校庭の北西の角に白樺の木が一本あったのを覚えていた。創立時に昔の校長が植えたもので、樹齢百年になると言われている。

昔の記憶を頼りに、彼女はそちらに目を向けた。すると、一人の少年が木の下に座り、一心不乱に本を読んでいるのが見えた。

朝の陽光が木の葉の間から差し込み...

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