第70章 私はとても好きです

彼女の顔に浮かんだ笑みは優雅で品があったが、どこか淡々とした疎外感が漂っていた。今の鈴木七海はいつもこうだ……。

中村健は彼女を深く一瞥してから、その場を去った。

会場の出入り口まで歩くと、彼は振り返って宴会場のホールを見つめた。その瞳の奥は深く沈んでいる。

「健さん、どこへ行くの?」

山下真衣が彼に尋ねた。

彼は少し考え、「別荘に戻る」と答えた。

山下真衣は一瞬呆然としたが、頷いて車を走らせた。

宴会が終わり、鈴木七海もマンションへと帰宅した。

まずシャワーを浴び、それから濡れた髪のまま、ベランダに出て風にあたっていた。

ふと、彼女の携帯にメッセージが一件飛び込んできた。...

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