第115章

水無瀬柚季が同居を承諾して、一番喜んだのは光ちゃんだった。

 ここ二日ほど、彼女の顔からは満面の笑みが絶えない。見ているこちらまで頬が緩んでしまうほどだ。

「ママ、今日はシーフードが食べたいな」

「ママ、お花にお水あげに行こうよ」

「ママ、きゅうちゃんの毛が抜けちゃってるよ。でも、きゅうちゃん大好き……」

 邸宅の中は一日中、少女の愛らしい声で満たされていた。

 光ちゃんのいる場所には、必ず水無瀬柚季の姿がある。

 仕事を終えて帰宅した鷺沢雪紘は、ソファに並んでテレビを見たり、おもちゃで遊んだりする母娘の姿を目にするたび、一瞬だけ足を止めた。

 それはまるで、かつて脳裏に描い...

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