第118章

話し合いは、物別れに終わった。

 水無瀬柚季は、逃げ出したのだ。

 何の答えも出さず、それどころか、鷺沢雪紘と顔を合わせることすら恐ろしくなってしまった。

 彼女はホテルの一室に身を潜め、外に出ることもできずにいた。

 様子を見に来た雨宮澪は、柚季のただならぬ気配を察して問いかけた。

「誰から隠れてるのよ? まるで借金取りに追われる逃亡者みたいじゃない。もしお金に困ってるなら言いなさいよ。いくらでも工面してあげるから。パパの会社も持ち直したし、椎葉櫂のやつも、ああ見えて頼りになるんだから」

 今や雨宮澪は、ちょっとした資産家令嬢に戻っていた。

 水無瀬柚季は首を横に振り、苦悩に...

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