第124章

『渡せるお金なんてない』

『嘘をつくな。鷺沢雪紘との間にガキを作ったんだろ? 実家も売ったはずだ。婆さんは死んだし、母親と弟からも見捨てられてる。手元の金を持ってたって意味がないだろ。俺によこせ』

 水無瀬柚季は、底知れぬ恐怖に襲われた。

 文字を打つ指先が、小刻みに震えている。

『どうして私が家を買ったことを知ってるの?』

 まさか、ずっと監視されていたのだろうか?

 暗闇の中から、誰かがじっとこちらの様子を窺っている――そう想像しただけで、水無瀬柚季は背筋が凍るような悪寒を覚えた。

『そんなことはどうでもいい。俺はお前のことを全て把握してるんだ。誤魔化そうなんて思うなよ』

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