第125章

「ちょっと大切な用事がありまして」

 運転手はそれ以上深くは聞いてこなかった。誰にだって言いたくない秘密の一つや二つはあるものだ。

「そうですか。じゃあ、ここで待ってますよ。用事が済んだらまた送ります。さっき、今日はお嬢さんの誕生日だって言ってましたよね。お母さんが遅刻しちゃいけませんよ」

「いいえ、結構です。ありがとうございます。用事が済んだら、迎えが来ることになっていますから」

「わかりました。じゃあ、気をつけて。お嬢さんに、私からもお誕生日おめでとうと伝えてください」

「ありがとうございます」

 ほら、この世には悪人もいれば、同じように善人もいる。

 善人に出会えるのは幸...

ログインして続きを読む