第127章

問われるまでもなく、彼が婚約者として同行するのは決定事項だった。

 当初、雨宮澪という女性に対しては、単に「面白い娘だ」程度の認識しかなかった。だが今は違う。

 今の椎葉櫂は、雨宮澪という存在が、以前よりも遥かに面白いと感じていた。

 雨宮澪は呆れたように白目を剥くと、エレベーターのドアが開いた瞬間、足に火がついたような勢いで飛び出した。

 だが、椎葉櫂は大股で追いかけると、彼女を軽々と横抱きにした。

「何すんのよ!」

「こっちのほうが速いと思ってな」

 この変態、どさくさに紛れてセクハラする気か!

 雨宮澪は身をよじって抵抗しようとしたが、確かにこの無料タクシーの方が、自分...

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