第148章

「三年か……」

 鷺沢雪紘は窓の外に目を向けた。

「なら、俺のことはよくわかっているはずだ。俺が一番嫌うのがどんな人間か、知っているな」

「嘘をつく人間、です」

 その「嘘」という言葉の意味は広い。

 たとえば意図的な欺瞞……あるいは、嘘つきはいずれ裏切るということ……。

「なら、誰が主人か、わかっているはずだな」

 木下矢は無意識にバックミラーに目をやり、鷺沢雪紘の顔色をうかがおうとしたが、不意にその瞳と目が合った。

 暗く深く、氷のように冷徹な瞳。

 木下矢はハンドルを握る手に力を込めた。迷いはなかった。

「あなたが、私のボスです」

 長いものには巻かれろ、というや...

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