第154章

千早玲奈と鴉城咲夜は、やがてその場を後にした。

 リビングに残されたのは、鷺沢雪紘と、父である鷺沢の二人だけだ。

 鷺沢は、目の前に立つ雪紘をじっと観察していた。三年前に義理の息子として迎え入れたこの青年に、彼は心の底から満足していた。

「初めて会ったあの瞬間から、お前という人間はいずれ大成すると確信していたよ。その後、義理の息子として迎え入れたが、私がお前に寄せた期待は正しかった。グループの管理を任せても、私は常に安心していられたからな」

「貴方のご恩は、片時も忘れたことはありません」

 雪紘はいつの時も忘れない。

 刑務所から出所した直後の、あの最も暗く淀んだ時期のことを。塀...

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