第158章

ここから千里も離れたある小さな街でも、今はしとしとと小雨が降り続いていた。

 叢雲柚斗は魔法瓶を手に足早に病院へと入った。すれ違う看護師たちが次々と挨拶をしてくるのに軽く会釈で応えつつ、彼はそのまま入院棟の三階へと向かう。

 三〇二号室のドアを開けた。

 病室には一人の少女がいた。彼女は車椅子に座り、窓辺でじっと外の空を眺めていた。

 叢雲柚斗は魔法瓶を置くと、ベッドの上の毛布を手に取り、自然な動作で少女のそばへ歩み寄った。彼女の両足にそっと毛布を掛け、窓を少し閉める。

「最近、どんどん冷え込んできただろ。窓を開けたまま座ってちゃ駄目だよ。風邪でも引いたらどうするんだ」

 水無瀬...

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