第161章

「あの時、私を病院まで運んでくれたのはこの子だったのよね」

 丛云夫人は思い出し笑いをこぼした。

「あんたの弟ときたら、すごい形相だったわよ。てっきりこの子が私を轢いたんだって勘違いして、お父さんに怒鳴り散らされてたっけ」

 丛云柚斗は苦笑した。

「親父ならやりかねないな」

「あの子のこと、好きなの?」

 楽しげに会話が弾んでいた最中、丛云夫人が唐突に切り出した問いに、丛云柚斗は呆気にとられた。

 しばらくして、ようやく我に返る。

「何言ってるんですか? 好きも嫌いも、そんなこと考えたこともないですよ」

「だって、わざわざ助けて連れ帰って、病院の手配までして……その上毎日通...

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