第171章

鷺沢雪紘は光を連れて、元の場所へと戻った。

 その飴は、雪の中にぽつんと寂しげに転がっていた。

 鷺沢雪紘はそれを拾い上げた。スーパーのどこにでも売っている、ごく普通の飴だ。

 珍しくも何ともない。

 だが、この味は光が一番好きなものだ。

 単なる偶然か、それとも……。

 彼の鼓動は急に早まり、視線は思わず周囲を彷徨った。

 千早玲奈は、それを見て胸のうちに酸っぱいものが込み上げてくるのを感じた。

「雪紘さん、子供の言うことを真に受けちゃだめよ。きっと誘拐犯か何かだわ。光ちゃんを拐おうとして、たまたま光ちゃんの好きな飴を持っていただけよ」

 しかし、光は小さな頭を横に振った...

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