第176章

「どうした?」

 椎葉櫂が雨宮澪の手を引いて背後から歩み寄ると、父娘が一点を凝視して動かないのを見て、つられて視線を向けた。

 その先を見て、櫂は思わず目を細めた。

 道路の向かいにあるスーパーの入り口。そこに、腰まで届く長い髪をしたロングスカートの女性が立っていた。

 その背中は、水無瀬柚季と酷似していた。

 いや。

 千春優奈が「似ている」とするならば、この女性は「瓜二つ」だ。

 女性の体型というのは大同小異に見えて、実際は骨格が違う。骨格の大きさや身長、髪の長さも微妙に異なるものだ。

 それらを総合すれば、どんなに似ている背中でも多少の違和感は生じるはずだ。

 だが、...

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