第177章

雨宮澪と椎葉櫂が正面から歩いてくるのが見えた瞬間、水無瀬柚季は咄嗟に車椅子の向きを変え、その場を離れた。

 名残惜しさはあった。

 だが、これ以上ここに留まれば露見するリスクがあることは明白だった。

 雨宮澪は、魂が抜けたような親子の様子を見て、すぐに結果を悟った。

「もうすぐ日が暮れるわ。急いで戻りましょう」

 彼女は何も聞かなかった。

 余計なことは言わなかった。

 鷺沢雪紘と光ちゃんもまた、何も尋ねなかった。雨宮澪と椎葉櫂が何の収穫も得られなかったことは、誰の目にも明らかだったからだ。

 帰路につく四人の足取りは重く、沈黙だけがその場を支配していた。

 誰一人として、...

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