第178章

水無瀬柚季はハッと顔を上げた。

 だが、知った顔は見当たらない。気のせいだったのか?

 彼女が俯くと、叢雲柚斗が車を回してやって来た。

 二人は車に乗り込み、その場を去っていく。

 二人が去ってからわずか二分後、雨宮澪と椎葉櫂が駆け寄ってきた。

「何を探してるんだ?」と椎葉櫂。

「さっき、本当に水無瀬柚季を見たの! あの横顔、はっきりと見えたもの、絶対に彼女よ!」

 雨宮澪は自分の目に狂いはないと確信していた。

 椎葉櫂は彼女をなだめるように言った。

「落ち着けって。ゆっくり話してくれ。柚季は一人だったのか? 服の色は?」

 雨宮澪は言葉に詰まった。

「……やっぱり、見...

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