第8章

結婚式当日、最高峰のホテルは、まるで御伽話の世界のように飾り立てられていた。

秋葉家と森田家は湯水のように金を使い、この「名門同士の婚姻」を社交界の注目の的にしようとしていたのだ。

西野天介と共に会場に足を踏み入れると、全員の視線が私たちの一挙手一投足に注がれた。

私はこの日のために選び抜いたドレスを纏い、プロの手によるヘアメイクを施していた。その所作からは、秋葉家では一度も見せたことのない優雅な自信が溢れ出ていた。

凛奈は私を見るなり、その動きをぴたりと止め、息を呑んだ。

どうやら彼女は、私がここに出席するとは夢にも思っていなかったらしい。ましてや、これほどまでに洗練された姿で現...

ログインして続きを読む