第12章 結婚指輪選びに付き合って

西園寺希美の指先が、深く掌に食い込んでいた。爪が皮膚を突き破りそうなほど強く。

目の前にある西園寺玲奈の勝ち誇った顔、そして神宮寺蓮が放った冷淡な三文字が脳裏をよぎり、彼女は突然、言いようのない疲労感に襲われた。

抵抗して何になるというのだろう。

彼女のあがきなど、巨木を揺らそうとする蟻のようなものだ。滑稽で、哀れなだけ。

彼女は深く息を吸い込み、喉元まで出かかった嗚咽と腹の底の怒りを無理やり押し殺した。ゆっくりと顔を上げ、西園寺玲奈の視線を真っ向から受け止める。そして、一語一語噛み締めるように告げた。

「分かったわ」

たった一言。それだけで、彼女の全ての気力を使い果たした。

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