第178章 名案が浮かぶ

第1章

神宮寺蓮は一瞬の躊躇もなく、書斎を後にした。

黒田洋二がドアノブに手をかけ、押し開ける。そこから主を通した後、彼はふと視線を上げ、室内に残された草柳真名を一瞥した。

彼の眼差しに他意はなかったが、草柳真名はその視線に晒されただけで、頬が焼けるような羞恥を覚えた。

彼女は咄嗟にうつむき、黒田の視線から逃れる。

カタリ。

扉が閉ざされた。

書斎に一人取り残されると、張り詰めていた糸が切れ、全身から力が抜け落ちた。

彼女は後ろのソファに、崩れ落ちるように腰を下ろした。

終わった……、もう終わりだわ……。

草柳真名は心の中で何度もその言葉を反芻した。額に手を当てると、ハラ...

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