第283章 温もり

「これはネロ・ダーヴォラよ。特製のワインを造るためのもので、市場にはほとんど出回らないの」

ソフィアは彼女の視線が葡萄の蔓に留まったのに気づき、丁寧に説明してくれた。

西園寺希美はこくりと頷いた。実のところ、彼女は酒や葡萄にそれほど興味があるわけではない。ソフィアの後に続いて屋敷へ入ろうと振り返りかけたその時、背後から声が聞こえた。

高く澄んだ女の声だった。アマルフィア語で話しているため、西園寺希美には言葉の意味が分からない。

それでも、その声は彼女の意識を強く惹きつけた。

振り返った西園寺希美の視界に飛び込んできたのは、夕焼けのように艶やかな赤髪を持つ女性だった。

透き通るよう...

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