第288章 ナタサ

ナタサはルッソ家の古参の執事だ。若き日は先代ルッソの下で立ち回っていたが、年齢を重ねるにつれ、裏社会の表舞台からは身を引いていた。

それに加え、新たなゴッドファーザーとなったマルコが、日に日に厳しさを増す法規制を前に、一族の生き残りを賭けてシノギの合法化へと舵を切ったことも大きい。

旧世代であるナタサの出番がなくなるのは当然の理だった。

だが、ナタサは先代ルッソに付き従ってきたロシア人であり、アマルフィアでとうに半生以上を過ごしている。いかなる家族をも見捨てないルッソ家が、彼女をそのまま一族に留め置いたのはごく自然な成り行きだった。

今やルッソ家で悠々自適の隠居生活を送るナタサは、機...

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