第72章 西園寺部長に注意

その発言は、城戸和彦にとって実に予想外のものだった。彼は一瞬呆気にとられたが、すぐにプッと吹き出し、手元のボールペンを無意識に回し始めた。

西園寺希美は伏し目がちに、その指先で回転するペンを見つめた。カチ、カチ、という乾いた音が、彼女の心臓を直接ノックしているかのように響き、緊張のさざ波を広げていく。

沈黙が続くにつれ、胸の内の緊張は高まり、呼吸さえも苦しくなってきた。

パタリ。

ペンが机に落ちる音と同時に、城戸和彦の声が響いた。

「それなら、君の言う通りにすればいい」

西園寺希美は頷いたが、その表情は依然として硬いままだ。

業務上、どうしても西園寺絵里を通さなければならない以...

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