第7章

 星見市の東側にひっそりと佇む路地裏。そこに、そのレーシングクラブは隠れるように存在していた。二本先の通りからでも、エンジンの咆哮が腹の底に響いてくる。

 柚人の車列がエントランスの前に横付けされる。彼が車を降りると、周囲の喧騒がふっと止み、無数の視線が突き刺さった。

 スリーピースの高級スーツに身を包んだ男が、レザージャケットやダメージジーンズの群れが占拠するレーシングクラブへと足を踏み入れる。

 クラブ内は紫煙が立ち込め、むせ返るようなガソリンの匂いが充満していた。コースの脇には黒山の人だかりができ、皆が一台のチューニングカーが疾走する様を熱狂的に見つめている。

 そして——彼は...

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