第111話

ソファにだらしなく座り、チャンネルをザッピングしていると、コーヒーテーブルの上に白い箱があるのに気づいた。

アシュトンがリビングに入ってきた。「君のだよ。開けてみて」

「私に?」私は驚いて顔を上げ、箱に手を伸ばして蓋を開けた。

中には二つの指輪が入っていた。

私は凍りついた。指が滑らかな金属の上で止まる。

彼が私の視界に入り、真正面に立った。「僕たちの結婚指輪だ」

私はもう一度指輪に目をやった。プラチナのペアリングで、それぞれに繊細なダイヤモンドの帯が埋め込まれている。内側には私たちの名前の頭文字――『M』と『A』――が刻まれていた。

私はそれに手を伸ばさなかった。「お祖父様のパーティーでつけ...

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