第142話

足音が聞こえた瞬間、ドアをそっと開けた。

ほんのわずかな隙間だ。フランクリンが尻に火でもついたかのように階段を駆け下りていくのが見えた。

表情まではうかがえない。彼が目的のものを手に入れたのか、それともアシュトンに追い返されたのか、見当もつかなかった。

私は部屋から出た。

アシュトンも同じタイミングで書斎から出てきた。

「携帯、見た?」私は彼に駆け寄った。「まさか本当にあのプロジェクトを彼にあげたわけじゃないでしょうね? あんな怪しいちっぽけな海運会社と組むなんて、同意してないって言って」

彼は歩みを止めず、まっすぐ階段に向かった。

その沈黙は、何を意味しているのだろう。

胃が...

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