第143話

「彼、ジュエリーに興味があるって言ってたわよ」とイヴェインが言った。「何か違うことを試してみたいんだって。とにかく会ってみましょ」

「いいわよ」

待つ時間は長くなかった。

十時半、ドアが開いて一人の男が入ってきた。

白いクルーネックのセーターに、ゆったりした黒のトラウザー。ネクタイもジャケットもなし。

だらしなくはないが、気合を入れすぎているわけでもない。

大学を出たばかりといった風情だ。満面の笑みに、透き通るような肌、短い黒髪――キャスティングエージェントが奪い合いになりそうな顔立ちだった。

イヴェインが肘で私をつつき、囁いた。「イケメンね。体格もいい。全身ブランドものじゃない?...

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