第152話

「あれは誰だ?」キャサリンが室内に足を踏み入れた途端、リースは尋ねた。

彼女はすぐには答えなかった。ただドアを閉めると、まるで何かに引っかかったかのようにスカーフをいじくり回した。

「車に乗っていた女のことだ」と彼は言った。「三十分近く前に着いていたはずだ。今になってようやく入って来る気になったのか?」

「友達よ」

「だったら、なぜ中に招かなかった?」彼は窓辺へ歩み寄った。女は別の車に乗り込もうとしているところだった。「見覚えがある。俺は会ったことがあるか?」

「さあ、どうかしら」キャサリンは彼の横をすり抜ける。「あなたこそ、帰りが早いのね。会社は忙しくなかったの?」

うまい切り返しだ。「お前...

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