第159話

イヴェインから電話があったのは八時過ぎだった。

アイラインを引いている最中だった。

「ミラ、迎えに行こうか?」

「大丈夫」携帯を肩と耳で挟み、マスカラに手を伸ばす。「まだ九時にもなってないじゃない。結婚式は正午からよ。自分で運転していくわ」

電話の向こうで彼女がくすくす笑う。「もう向かってるところなの。昨日の夜なんて、興奮しちゃって一睡もできなかったんだから。レイチェルの結婚式よ!」

「わかった、わかった。すぐ行くわ。着いたらそっちを探すから」

「お願い。私を母方の親戚の中に置き去りにしないでね」

イヴェインは一週間前から、いとこの結婚式を心待ちにしていた。

自分の結婚式よりも興奮する、と彼女...

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