第17話

「大丈夫か?」

彼の声で、思考の渦から我に返った。

「え?」私は彼に向かって瞬きする。頭がまだ追いつかない。

アシュトンは私をちらりと横目で見た。「さっき。病院で。あいつに……何かされたか?」

「リースのこと?」「ううん、何でもない」

厳密に言えば、本当のことだ。

向こうがそうしようとしなかったわけじゃないけど。

リースはジムに住んでいるような男で、たぶん血の代わりにプロテインシェイクが流れている。もし彼の一撃を食らっていたら、私はちりとりで自分の体の破片をかき集める羽目になっていただろう。

私は、今度はもっと小さな声で付け加えた。「ありがとう」

彼は「どういたしまして」とは言わなかった。

そ...

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