第206話

思わず息を呑んだ。

一度、二度と瞬きをする。

どう反応すればいいのか、さっぱりわからなかった。

胸が締め付けられ、目が熱くなる。

口を開いたが、何も出てこない。

彼の親指が私の唇をなぞった。

「何も言わなくていい。ただ聞いてくれ」彼は私から視線を外さない。「公表するって言ったろ。今やろう。投稿してくれ」

喉がひりついて声がかすれた。「本気なの?」

「本気も本気だ」彼は瞬きもしない。「君が心変わりする前に」

小さく息を吐き出す。「わかったわ」

頭に綿でも詰められたような気分だった。

ベッドサイドのテーブルからスマホを掴むのに、考えることすらしなかった。

Xを開き、アシュトンの名前と最新の投稿を見...

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