第210話

ミラベルが去った後、アシュトンは枕の上にどさりと身を投げ出し、片腕で目を覆った。

彼女がいた場所のシーツは、まだ温かかった。

寝返りを打つと、枕に残る彼女の香りを捉え、それから視線を下ろした。

思わず悪態をつき、パジャマのズボンにできた〝テント〟を忌々しげに睨みつけた。

身じろぎし、位置を直そうとして、また舌打ちする。

彼の目はナイトスタンドへと彷徨った。

そこには、見せつけるような精密さで、三ダースものコンドームの箱が積まれていた。

役に立つにはあまりに遅すぎる配達だ。

マネージャーの給料を減給しておこうと、心にメモした。

ナイトスタンドの上で携帯が震えた。

もう一度。

そして、またもう一度...

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