第22話

女はじろりと私を一瞥すると、ジュースをひったくった。「ありがとう、ヴァンスさん」

「どういたしまして」私はにやりと笑い、イヴェインの腕を掴んでその場を離れた。

背後で、おしゃべりの声が遠ざかっていく。

イヴェインがひそひそ声で言った。「あなたの視線ひとつで、彼女の顔色、一気に悪くなったわね」

私はくすくす笑った。「ああいうタイプは知ってる。陰ではぺちゃくちゃ喋るくせに、いざ面と向かって、特に人前で目を合わせると凍りつくのよ」

私たちはデザートテーブル――二十メートルはあろうかというケーキとシャンパンの饗宴――へと向かった。ジュースによる妨害の心配もなくなったところで、私はミニエクレアを一つひょ...

ログインして続きを読む