第262話

「ホテルでファブリツィオと私がヤッてるのを取り押さえられなくて、さぞかしがっかりしたことでしょうね」皮肉が口をついて出た。「そう思ってたの? 彼に会ったときからずっと? 彼が私に気があって、あなたがパリを離れた途端に、私たちがベッドに飛び込むって? そういうことなの?」

その時、はっとした。「だから急にパリを離れたの? 本当は離れたんじゃなくて、ふりだけだったんでしょう? 私が彼の腕の中に飛び込むのを期待して、現行犯で捕まえるために」

アシュトンは何度か口を挟もうとしたが、私は彼の言葉を遮ってまくし立てた。

彼には昔からストーカー気質があった。私のアパートの向かいの部屋を買った日に、それに気づ...

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