第325話

「俺だ」

まず聞こえてきたのは、アシュトンの声だった。その一秒後、彼は階段の踊り場に姿を現した。

イヴェインが慌てた様子で彼のすぐ後ろにいた。「勝手に入っちゃダメだって言ったでしょ!」

私は見慣れた彼の顔を見上げた。「ここで何してるの?」

「妻を連れ帰りに来た」彼は私をひょいと腕に抱き上げた。

私はもうパジャマ姿だった。恥ずかしくて、彼の胸を押し返す。「降ろして! 友達がいるのよ。一体何するつもり?」

アシュトンが顔を向けた。

イヴェインが数歩離れたところで腕を組んで立っていた。彼女は私を見る。「ミラ、一言言って。催涙スプレー、持ってるから」

「彼女にスプレーをかけさせるつもりか?...

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