第328話

意識が途切れ途切れになる。全身がまるで火にあぶられているかのように熱く、喉は砂でも詰まっているかのようにからからだった。

「ミラベル。ミラベル……」

男の声が聞こえる。その霞んだ意識の中では、聞き覚えがあるような、それでいて知らない声のようにも感じられた。

額に冷や汗がにじむ。気分は最悪だった。

「ミラベル、ミラベル……起きるんだ……悪夢を見ているぞ」と、同じ男の声が促す。それから、誰か別の人間に向かって言った。「先生、彼女の容体は?」

別の声が答えた。「肉体的には安定しています。問題は精神的なものですね」その話し手はため息をついた。「熱が下がれば、悪夢もおさまり、きちんと目を覚ますでしょう。...

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