第33話

沈黙。

腹立たしいほど、説得力のある沈黙。

それに心が揺らぎそうになっている自分が嫌だった。

リース・グレンジャーは、かつてスカイライン中の女たちが夢に見ていた男だった。彼が根っからのろくでなしだと知る前の私も、その一人だった。キャサリン、セリーナ――ああもう、私たちみんな、その幻想に酔っていたのだ。

でも今、本当の注目の的はアシュトン・ローランだった。ローランという苗字――まあ、確かにローラン家の一員であることは間違いなく多くの扉を開くけれど――それだけじゃない。彼自身が持つ知性、信念、そして不気味なくらいの冷静さ。

彼と結婚することは、最高の切り札になるだろう。

それに、うぬぼれた特権階級...

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