第358話

病室は静まり返り、消毒液の匂いがこもっていた。

彼女が電話を切った後、スマートフォンを見つめていると、足の鈍い痛みを突き抜けるような満足感がこみ上げてきた。その感覚で、意識がより鋭敏にはっきりと冴えわたる。

ドミニクがドアを押し開け、中へ入ってきた。

彼を見た瞬間、俺の笑みは消え失せた。「どうだ? 彼女を見つけたか?」

ドミニクは俯き、その表情を悔しさに染めた。「申し訳ございません、ローラン様。ジュヌヴィエーヴは……姿を消しました。携帯電話は公共のゴミ箱で発見されたとのことです」

「捜索を続けろ。見つけ次第、スカイラインから追い出せ」俺の声は平坦で冷え切っていた。彼女は苛立たしい存在であり、も...

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