第386話

アシュトンが仕事に行かなくていい、そんな珍しい平日の午後だった。

子供たちは隣の部屋にいて、何週間かぶりに、私たちは寝室で二人きりになれた。

お祝いに、と彼が決めたのは……。

ゆっくりと、少しずつ距離を詰めながら、彼が顔を寄せてくる。

吐息の熱を感じ、彼の瞳に欲望の炎が揺らめくのが見えた。

そしてついに、私たちの唇が重なった。

その瞬間、隣の部屋から二人の赤ん坊の甲高い泣き声が突き刺さってきた。

私たちは同時に飛び起き、

「ママが来た、ママが来た……」

その泣き声は私の心の奥深くにある何かを鷲掴みにし、胸が痛むほど締め付けた。腕に一人を抱きしめるまで、私の心は落ち着かなかっ...

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