第392話

魚のフライを一つ手に取り、口に放り込む。「ねえ、お友達によろしく伝えておいて。これ、最高だわ」

私はシャンパンを開け、グラス二つに注ぐと、片方を彼に手渡した。「私たちに」

彼はいつもの、あの気だるげで満足そうな笑みを浮かべ、私のグラスにこつんと当てると、一気に飲み干した。

冷たい泡が喉を滑り落ち、心地よい刺激を残していく。私はラウンジャーに身を沈め、心の底から満たされていた。

足元にはピンク色の砂。目の前にはターコイズブルーの海。潮の香りを運ぶ柔らかな風。

「信じられない……」私はつぶやいた。「人生でこんなロマンチックな瞬間が訪れるなんて、想像もしてなかった。これが現実だなんて思えない」

アシ...

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