第47話

ニクス・コレクティブに遅くまで残っていた。

真夜中過ぎまで。

他の社員はもう何時間も前に帰ったというのに、私はまだデスクに残り、ノートパソコンにかがみこんでいた。

建前上は、仕事。

でも本音は？　隠れていただけ。

アシュトンから。

そして、彼が私たちの真新しくて、ごく普通で、決して変じゃない契約結婚を、ベッドでのお楽しみで完成させよう、なんて言い出しかねない、その恐ろしい可能性から。

だって、もしそう言われたら、瞬きひとつせずにイエスと答えてしまいそうで怖かったから。

もっと悪いことに――もし私の方から言い出してしまったら？

確かに、私たちは法的には夫婦だ。

でも、実際に一緒に寝たのは一度きり...