第116章 焼きもちを焼いている

「なるほどねぇ」

警備員の顔から警戒がすっと消え、にやりと笑った。

「女が男を追っかけりゃ、隔たりなんて薄皮一枚って言うけどさ。お嬢ちゃん、けっこう度胸あるじゃん」

からかすように言ったあと、今度は妙に親身な口ぶりになる。

「確かにお嬢ちゃん、綺麗だよ。でもさっきの男はやめときな。あの家、敷居が高い。早めに諦めたほうが身のためだ」

温井知夏は困ったように眉を下げ、両手を合わせた。

「おじさん、お願い。ちょっとだけ助けて」

そう言いながらバッグから紙幣を数枚抜き、そっと差し出す。

「ほんの気持ちです。受け取ってください。名前が知りたいだけなんです。彼を彼氏にするかどうかは……そ...

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