第117章 彼女を誘う

そう思い返すたび、温井知夏の胸には後悔が深く沈んだ。

「明日の夜、清水家に入ったら、くれぐれも慎重に動け。行動を始めたら、できるだけ常に俺と連絡を取り合ってほしい」

黒崎冬馬の目に、かすかな憂いが差す。

「うん」

温井知夏は素直にうなずいた。

ほどなくして、二人は近くのホテルに部屋を取った。

昨夜の一件があったせいか、黒崎冬馬は迷わずスイートルームを押さえた。

男がカードで支払いを済ませ、部屋に入る。すると温井知夏は、彼が何か言うより先に、そのままセカンドベッドルームへ向かおうとした。

「君はマスターベッドルームを使え。そのほうが楽だろ」

黒崎冬馬が淡々と言う。

「大丈夫...

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