第128章 すでに決まった相手がいる

「不注意だったのなら、私はあなたを責めたりしないわ」清水由衣が淡々と遮った。

この空気では、温井知夏もこれ以上追及しづらい。

「清水夫人、本日はお時間をいただきありがとうございました。まだ用事がございますので、これで失礼いたします」

温井知夏が立ち上がると、清水由衣の声がわずかに強まった。

「温井さん、少し待って」

「まだ何か?」温井知夏は不思議そうに眉を上げる。

「ええ……」清水由衣は小さく頷き、逡巡の色を浮かべてから口を開いた。「昨夜は温井さんに嫌な思いをさせてしまったわね。誤解も解けたことだし……黒崎社長のほうへ、温井さんから少しだけ、取りなしてもらえないかしら」

黒崎家...

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