第13章 彼女は悪い母親?

九条知夏の表情は、相変わらず平坦だった。

九条司は眉間に皺を寄せる。

「杏奈はお前が見ててくれ。環奈のほうが――」

「環奈ちゃんが危ないんでしょ? パパ、私も一緒に行く!」

九条杏奈が食い気味に叫ぶ。

「ダメだ」

九条司は即座に退け、娘の小さな頭を撫でた。

「杏奈はママと――」

「やだ!」

杏奈は勢いよく首を振る。

「私、パパと一緒に行って環奈ちゃんを守るの!」

その言葉が、針みたいに九条知夏の胸を刺した。

結局、九条司は娘に押し切られ、遊園地を出る。三人は足早に駐車場へ戻った。

男が車に乗り込もうとした、その直前。

九条知夏がふいに袖をつかむ。近い距離の横顔を見...

ログインして続きを読む