第132章 いくつか思い出した

「頭がくらくらする。ちょっと支えてくれよ」

清水三郎はどこか拗ねたような口調だったが、その目の奥に、ひらりと狡さがよぎった。

温井知夏は、さっき飲ませた睡眠薬の効きがまだ残っているのだろうと思い、疑いもせず手を伸ばしてソファから引き起こす。

ところが清水三郎は、わざとみたいに――細身で背の高い身体を、彼女のほうへ倒れ込ませてきた。

「きゃ……!」

知夏は慌てて受け止める。

清水三郎は額を押さえ、弱々しい声で頼んだ。

「知夏、ほんとにふらふらでさ。悪いけど、外まで肩貸して」

それを聞いて、温井知夏は表情を崩さないまま、きれいな眉をわずかに寄せた。

「店員さんに手伝ってもらう?...

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