第162章 彼女を守る彼

「児島さん?」温井知夏の瞳に、驚きが走った。「どうしてここに……私を病院まで運んでくれたの?」

「いいえ」児島さんは首を振る。「温井さんを見つけたのは当主様です」

――黒崎冬馬。

どうして彼がG港に?

その瞬間、温井知夏のこめかみがずきりと痛んだ。思わず額に手を当て、眉を寄せる。

「温井さん、どうされました? 頭が……?」児島さんが顔色を変える。

「うん、ちょっと……痛い」

「すぐ医師を呼んできます」

児島さんはそう言い残し、慌ただしく病室を出ていった。温井知夏は問い返す暇すらない。

ほどなくして、児島さんは医師を連れて戻ってきた。ばたばたと足音が近づき、空気が一気に慌ただ...

ログインして続きを読む