第168章 争いを外から煽る

「ねえ、聞いてよ。あの温井って女、表じゃ裏じゃ別人なの。詩織の従兄の前では清純ぶっておとなしくしてるくせに、陰じゃ口が悪くてさ。とにかく意地が悪いし、皮肉ばっかりで……」

佐藤夕奈は一息にまくし立て、最後に念を押すのも忘れなかった。

「詩織、あんな腹黒い女に従兄を取られちゃだめよ」

それを聞いた津崎詩織は、顔色が最悪になるほど怒りを滲ませた。

「……あのクズ。絶対に許さない!」

電話口の佐藤夕奈は、狙いどおりだと確信すると、適当な口実を作って通話を切った。

車窓の向こうにそびえ立つ華天タワーを見上げ、佐藤夕奈は目を細める。瞳の奥は計算で濁っていた。

「温井知夏も津崎詩織も、自分...

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